KOHIKIMAME-EZARA
粉引豆絵皿
ほのぼのする豆絵皿
10年前に初めてこの素材と出会いました。
それからずっと商品化の機会を見計らっていましたが、
今回あらためて窯屋を再訪することができました。
一定の厚みに伸ばした板状の土を手作業で切り出して、
石膏型に貼り付けて作るたたら成形が得意な窯屋です。
何度も試作を重ねようやく商品が出来上がりました。
荒めの赤土に粉引が施され、その上に判子でゴスやサビの絵付けがされています。
釉薬は少しもったりとした灰釉がかけられていて、
クリーム色がかった粉引と重なり柔らかく温かみがあります。
それでいて、鉄粉やピンホールが現れたり、
粉引が薄くなった縁回りは焦げた赤土が顔をだし、渋く古典的な強さも感じます。
形状は気軽に食卓に取り入れられる豆皿にしました。
丸型ですが、たたら成形で手作りされた形は、
どれもいびつに歪んでいます。
縁の立ち上がりがしっかりあるものやなだらかなものなど、
一つとして同じ形状がなく愛着がもてます。
絵柄は判子を使って皿の中心に一柄だけ絵付をしました。
サンプルが焼き上がるまでは、絵柄がシンプルすぎないか不安でしたが、
粉引の素材感や形状のいびつさを生かした、絶妙なバランスの絵柄になりました。
モチーフは人の暮らしに昔から根付いている古典柄で考え、
最終的に決まった柄は瓢箪です。
瓢箪は縁起物として子孫繁栄や商売繁盛などのシンボルであったり、
お守りや魔除けとしても広く用いられています。
色はゴスとサビの2色展開です。
判子のかすれやムラ感が味わい深く、
ゴス色の濃淡や、サビ特有の滲みが趣のある表情です。
生姜に塩やレモン、梅肉などの薬味入れや箸置きとしても使えるサイズ感です。
無地の器が多くなりがちな現代の食卓にちょこちょこと登場させれば、
渋さのある素材感と手押し判子のゆるい表情が場を和ませます。
ほのぼのとした時間をぜひ豆絵皿と一緒に楽しんでみてはいかがですか。