KOMASUJI HYOTAN
駒筋瓢箪
瓢箪徳利でお酒を楽しむ
肌寒い季節、燗につけたお酒を飲むと冷えた体がゆっくりと温まりホッとします。
また、徳利や盃を持って注いだり注いでもらったりして、自分や相手を祝ったり、
ねぎらったりするシチュエーションにはどこか安堵感があります。
昔から徳利や盃は神事や婚礼、季節の行事など様々な儀式に使われ、
単にお酒を飲む器であるだけではなく、
日本の文化として育まれた大切な道具とも言えます。
そんな昔から親しまれてきた道具と、
昨今海外からも注目を浴びている日本酒を現代の食事や晩酌の時間にもっと楽しんでもらいたいと思いました。
フォルムは、古典的な瓢箪型をモチーフにしました。
どこか愛嬌があったり、お茶目な感じがしたり、色っぽい女性を思い起こさせたり、
様々な捉え方できる面白さがあります。
現代の食卓にも合うように、上部の膨らみは控えめにして瓢箪の中でもすっきりとしたフォルムにしました。
盃は瓢箪のヘタの部分をひっくり返したような形をしています。
高台部分の径を小さくし、高さのある足元が少し緊張感のあるフォルムになっています。
最初にお酒を盃に注ぐ時、
トクトクトクと、徳利から聞こえてくる“音”は、静かにお酒を楽しみたい時にえもいえぬ味わい深さがあります。
駒筋状の絵付けには職人の技術が隠れています。
轆轤(ろくろ)の上に置いて回転させながら描き出しと最後が繋がるように一本一本線を引きます、
回転体とはいえ完全に均一なものはありません、
厚みや焼成による生地の微妙な歪みを感じ取って筆の運びや力の入れ具合を感覚で調整しています。
ゴスは爽やかで、そば徳利としてもおすすめです。
赤絵は瓢箪型という縁起の良い形であることからも、
正月やお祝いの席で大変重宝します。
手描きで引かれたラインには濃淡があり職人の息づかいを感じます。
秋の夜長に静かな場所で一人お酒を楽しむ、そんな時間を過ごすのもこの上なく贅沢ですね。