「韻」という音の響きに惹かれ、名付けました。
韻とはお茶を飲んだあとに口の中で変わる香りを表現する言葉です。
五感を使ってお茶を味わい、その時間を一緒に楽しめるお茶のシリーズを作りたいと思いました。
湯呑み、茶托、菓子皿の3アイテムです。
ホテルや旅館、来客時に使うシーンを想定して品のある雰囲気になるようにデザインしました。
湯呑みは満水で110cc。
一番美味しい状態でお茶を飲んでもらうために小ぶりなデザインにしています。
一煎目、二煎目、三煎目、とだんだんと変わるお茶の色や香り、味を楽しんでもらいたいです。
縦に入る直線と柔らかな曲線を組み合わせました。
側面に段をいれることで、段差から落ちる影が形のアクセントになっています。
上品な印象にするために口元は薄く仕上げています。
口が当たる部分の装飾は高低差を少なくすることで、飲みやすくなっています。
茶托もすっきりとしたデザインです。
湯呑みと重ねた時に全体の華やかさが増すように、装飾に一体感を持たせながらも四角をベースとした形にしました。
菓子皿は装飾的なリムの効果で、自然と中心に目がいくデザインです。
6cmくらいのお饅頭が美しくのるように盛り面のサイズを考えています。
限られたスペースですっきりと収納できるように重なりにもこだわっています。
土は白荒土を使うことで、土物の温かさ、貫入や鉄粉などの表情が楽しめます。
白、黒、薄緑の3色展開です。
白は乳白釉のぽってりと優しい雰囲気で、装飾も柔らかな見え方になります。
黒はマットな質感です。
ざらっとしたかっこいい質感なので釉薬の性質上、装飾の段差部分にちぢれがみられるのも特徴です。
薄緑はたまった部分の貫入がきらきらとして綺麗です。
お茶の色味もしっかりと見えます。
湯のみと茶托は重ねずに湯呑みと小皿として、茶托に小さな菓子をのせて使ってもかわいらしいです。
読書やおやつの時間など、韻でお茶をおいしく味わっていただきたいです。