80年代、日本でフレンチといえば高級レストランのイメージが強かったころ、洋食居酒屋の名は多くありましたがフランスで定番の「ビストロ」と名乗るお店はまだ数える程でした。
90年代から都内で少しずつ注目されるようになり、それから20余年ですっかり日本の飲食カテゴリーに名を連ねるほど定着しましたね。
ビストロの定義はカジュアルにお酒や料理が楽しめる場所。
日本人に馴染み深い居酒屋に類似したビストロは、お洒落な印象もあり若い女性層を中心に受け入れられてきました。
Fetta 9" plate × 野菜のテリーヌ
フレンチのガストロノミー(美食学)レストランは、上質な食材をシェフの卓越した調理で味わうハレの料理。
料理以外にも、ゆったりとした贅沢な空間、ソムリエやメートル・ドルテ(給仕長)の優雅なサービスを楽しめる高級レストランです。
Forno café cake pan・R.B.B.C. バター入 × エスカルゴ
ビストロはガストロノミーレストランよりはるかにカジュアルで、お財布にやさしく毎日でも通いたくなるお食事処。
ビストロの語源はロシア語の「急げ」を意味するbistroからきているとも。
パリやリヨンの大都市で働く人たちが時間をかけず美味しい料理を毎日味わいたい。そんな需要に応えるようビストロは誕生しました。
ここ数年のパリではビストロの伝統回帰ブームで、ガストロノミーレストランで修業をつんだ若いシェフはあえてビストロをオープンさせ自分の世界観を表現しています。
フレンチの伝統的な調理を基本としたクリエイティブな料理は、さまざまな解釈でガストロノミックにアレンジされ「ビストロノミー」と呼ばれる新しいビストロも誕生しています。
Whole fish plate × イサキのレモングリル
ここ日本ではというと魚介に特化したビストロなども登場。
フランスは遠洋漁業のため魚の種類が限られ、また新鮮さに劣るので魚の内臓を使用することはありません。
その点、海に囲まれた日本は近海の新鮮な魚介類が豊富に手に入るため、肝和えや白子、または貝類をメニューに出す魚介に特化したビストロも登場しました。
こういった魚料理専門のビストロや、最近では日本特有の発酵調味料を取り入れた個性的なビストロも注目されています。
この先日本では多種多様で魅力的なビストロがまだまだ登場するでしょう。
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