企画通信-2022春夏

夏至|半夏生

かしわで

「心身を休め、滋味深い料理を頂く」

 

漢字で「膳」と書いて「かしわで」と読みます。
日常では一膳、二膳(いちぜんにぜん)と読んでいますが、
太古の昔、かしわの葉をお皿の代わりに使ったことが由来だそうです。
料理を乗せる台や食事のことで素朴でシンプルな料理や器を思わせます。

形状はたたら成形で作った皿に4つ脚をつけ、自然な揺らぎのある角皿をつくりました。
その形状を原型にして石膏に写し取り生産用の型を作ります。
盛面には櫛目を施し、へこんだ部分の釉のたまりや凸部の焦げ感、ザクザクとした手触りも面白さの一つです。

素材は手作り感のある素朴さをより活かせるように黄味がかった土物を選びました。
土の粒子が大小様々にあり鉄粉が多く入っているのも特徴です。
手作り感のある形と黄味がかった土がほっとするような温もりのある器になりました。

色は青磁と濃藍の2色展開。
どちらもガラス質で透明度のある釉薬を使っています。
そうすることでより土の表情が表面に透けて素朴さや荒々しさのある豊かな質感に。


濃藍は特に土に含まれる鉄分とも反応して焦げ感ができ、より力強さのある表情をしています。

裏側の中央にはかしわの葉をモチーフにしたロゴを配しています。

葉っぱをお皿の変わりにして食事をしていた頃に少し思いを馳せてみてはいかがでしょうか。



6寸は鰆やブリなど小さめの魚の切り身、副菜の2品盛りなど。
7寸は鯵の開きや、切り身、揚げ物や生姜焼きなどの主菜用の器として重宝します。
板皿状ではありますが少しフチ周りが高くなっており、多少の油分や汁気は漏れ落ちないようになっています。

食材の瑞々しさや美しい色味が素朴な質感と対峙しより美味しそうに料理をみせてくれます。
他にもチーズやナッツ、ハムなどの洋風のおつまみを盛り付けても自然に馴染むような面白さも併せ持ちます。

先人の知恵にならって心身を休め新鮮な食材と滋養のある食事でほっこりとした時間を過ごしてはいかかですか。

WRITTEN by Yuko Hayashi

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