「古典的な意匠を今の食卓に馴染むように」
菱が三つ重なった形が松の樹皮のように見えることから名付けられた、松皮菱という形の5寸鉢。
松皮菱は家紋や着物などにも使われている伝統的な紋様です。
古典的な意匠を元に、今の家庭の食卓にも馴染む
スタジオエムらしいニュアンスを足したデザインに仕上げました。
鯵のたたきや冷奴などの、ちょっとした酒の肴や食事時には副菜を盛り付けたくなります。
アシンメトリーに入った梅と、縞の模様がシックな「黄瀬戸梅(きせとうめ)」と、
古典的な襷文様が凛とした雰囲気の「古染四方襷(こそめよもだすき)」の2種類。
カチッと左右対称ではなく、少し手跡が残るつくりの松皮菱の形をベースに
手描きの絵をもとにした柄を銅版転写という絵付けの技法で施しました。
「黄瀬戸梅」は古い織部焼の絵付けや釉がけのモダンな意匠を取り入れています。
あえて左右の線の本数や太さにメリハリをつけ、
柄の入り方を対角線上にすることで、全体を見た時に柄の流れが斜めに見えるようにしています。
どの向きから見ても柄のバランスがよく見えるように心がけ、
線の太さの強弱、梅の色の濃さにも変化をつけて楽しめるようにしています。
「古染四方襷」は骨董の磁器の絵付けの器をもとに、
装飾的な枠と四方襷と呼ばれる細かな模様をアレンジして
古典的なのにどこか可愛らしい雰囲気の柄を描きました。
絵付けを入れる位置のを縁ギリギリや立ち上がり部分に少しだけ被るようにあえてして、
洒落たバランスになるようにしています。
荒さのある白い陶土を使い、貫入の入る釉薬を施すことで、柔らかく味わい深い印象に仕上げました。
黄瀬戸釉はとろりとした黄味の釉薬で、その発色や縁などに出る焦げ目が温かみがあります。
古染釉はただ透明ではなく少しだけ青みのある釉薬で、
青い四方襷の銅版の爽やかで凛とした雰囲気をより強調しています。
松皮菱という漢字が裏面のアクセントになっています。
松皮菱の鉢に料理を盛り付けるときには、
中央に寄せることを意識するのことが綺麗に見えるポイントです。
そうすることで内側に入った梅や四方襷の模様がちょうど見えて、料理を引き立てます。
食事時にも、晩酌の時にもちょっと個性的な松皮菱が食卓に彩りを添えてくれますよ。
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